NEWSLETTER Vol.18 2018年 11月

   

NEWSLETTER 2018年11月 Vol.18に掲載された記事の中から、「タスマニアンデビル」の記事をご紹介します。
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タスマニアンデビル

皆さんこんにちは!31189973_1633499713432652_2814213255662501842_n

今回は“黒い悪魔”とも呼ばれているタスマニアンデビルについてお話ししていこうと思います!
名前の由来ですが、夜に餌の取り合いする時の唸り声が悪魔のように聞こえたこと、夜の暗闇に身を隠すために真っ黒な姿であるこ
とから、デビルと名付けられました。
現存している肉食有袋類では最大で、餌は主に動物の死骸です。タスマニアンデビルが食事を終えた後は、骨も皮も何も残りません。強い顎で、骨もすべてかみ砕いて食べてしまいます。
そんなタスマニアンデビルはもともとオーストラリア本土でも生息していましたが、現在、野生ではタスマニアのみに生息していて、IUCN (国際自然保護連合)によって絶滅危惧種として指定されています。

個体数が減少している理由は大きく分けて2 つあります。まずは交通事故です。多くの動物達が道路を渡る際に車との接触事故によって命を落としていますが、タスマニアンデビルは交通事故に遭った動物の死骸を食べに道路まで来てしまうのです!道端で死骸を食べる黒いタスマニアンデビルは車からは見えにくいため、交通事故に遭って死んでしまうという負の連鎖を生んでいます。

そしてもう一つの原因は、デビル顔面腫瘍性疾患 (Devil Facial Tumour Diseases / DFTD)です。これはタスマニアンデビルにのみ発症する癌で、世界でも数少ない感染する癌でもあります。感染というと、ウィルスなどの感染と同じように聞こえますが、これは顔面腫瘍性疾患を持ったタスマニアンデビルが、持っていない個体に噛みつくことでがん細胞を移植し、その細胞が他の動物由来の異物であるにも関わらず、拒絶反応が起こることなくそのまま細胞が定着し、腫瘍となるのです。
この免疫機構によって排除されないメカニズムについてはまだ完全には解明されていませんが、免疫学におけるMHC(Major Histocompatibility Complex)による自己か非自己かの鑑別がうまく出来ない為に、拒絶反応が妨げられているのです。
感染すると、最初はニキビほどの腫れができ、それが3 か月で大きく腫れ上がり、口や顔、首などが動かしにくくなって最後には物
を食べられなくなり餓死してしまいます。

デビル顔面腫瘍性疾患の治療法はまだ確立されていませんが、そんな中でも私たちができることはあります。
それはこれ以上個体数を減らさないように、動物との接触事故を減らすことです。タスマニアンデビル以外の多くの動物も車との接触事故によって命を落としています。
なので、みなさんの身を守ると同時に動物達のためにも、安全運転をよろしくお願いしますね!

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