タスマニアンデビルのヒゲは1ヶ月間の食事と生息地の情報を記録していることが研究で示された 2022年4月12日
2022/04/28
『Study finds one Tasmanian devil whisker maps months of food and habitat information』(英文PDF)
ABC Radio Hobart
2021年12月31日
Georgie Burgess記
担当:yuk
【要約】
タスマニアデビルのヒゲ1本で、研究者は1年分の食に関する知識、どう動き回ったか、餌の取り方を変えたかどうか、を得ることができます。
生きたタスマニアンデビルと死んだタスマニアンデビルを研究した結果、研究者は肉食動物が朝食に食べたものだけでなく、どの季節に食べたのかということも特定することができるようになった。
その情報は、将来、異なる気候の下でどのように動物が反応するか研究者が予測することを可能にした。「もし異なる生息地で動物がどう対処し、反応するかを理解できれば、将来どう行動に移すのか予測することができます。」上席著者トレイシー ロジャースは言った。「現存するタスマニアンデビルは最後の大型有袋肉食動物です。彼らをケアをすることはとても重要です。」
「タスマニアンデビルが必要としている状態や、将来栄える環境を理解することが重要です。」
その予測は、デビル顔面腫瘍性疾患(DFTD)という全盛期には頭数の95%を減少させる程の影響を持った病気と戦うためにも役立つ。
「デビルのヒゲは病気そのものについてを私たちに伝えるというよりも、病気に対してデビルたちがどう反応したのか詳しく伝える」とロジャース教授は言った。
タイムマシンの役割をもつヒゲ
ニューサウスウェールズ大学の調査チームは、記録された時間を算出するためにタスマニアンデビルのヒゲの伸び率を理解したかった。今まで、食生活の記録はヒゲからさかのぼって調べられたが、いつその食べ物をいつ食べたのか知ることはできなかった。
「私たちは時間をさかのぼるためにタスマニアンデビルのヒゲを使用しているのです。」とロジャース教授は言った。
「解剖すると、ヒゲは木の年輪のようである。動物が何を食べて1年前にどう生き延びていたのか描写する。」
ロジャース教授によると、時系列をモデル化するために、重い安定同位体を含む錠剤を6頭の飼育デビルに3ヶ月おきに食べさせました。
ヒゲはゆっくり伸びるようになった後、速く伸びるようになることが分かった。そして鼻口部の異なる部分のヒゲがさまざまな長さに伸びた。
平均すると、最も長いヒゲはなくとも9か月の履歴を保持している。しかしヒゲの伸びが遅くなると1年ほどの情報が保持されるようである。
研究者は、同位体の指標を得るために獲物となる動物のサンプルも集めた。それによりどれくらいタスマニアンデビルが獲物を捕食したのか計算することができた。
「私たちはヒゲの場所による時系列を得るために、自然の中へ行き野生のタスマニアンデビルを捕まえて1本のヒゲを抜いたり切ったりした。」彼女は言った。
「それから私たちはそれを切り取り、タスマニアンデビルが何を食べ、どこで暮らしていたのか1年間の生活を振り返ることができる。」
調査チームはタスマニア内で車にひかれてしまったタスマニアンデビルのヒゲを集め、左右全てのヒゲの長さを測った。
どのように生きたタスマニアンデビルからヒゲを採取したのか
現在調査チームはタスマニアンデビルのヒゲの伸びの速さを理解しており、1本のヒゲからは、1週間観察するよりも綿密な内容を得ることができている。
ロジャース教授は、「生きたタスマニアンデビルからは1本のみのヒゲを採取することが重要だ。なぜならその環境における経験を記録するという極めて重要な役割を担っているからだ。」と話す。
彼女は、生きたタスマニアンデビルからヒゲを採取することは想像よりも難しくないと話す。
「タスマニアンデビルは鳴き声がうるさいと悪い評判がある」と彼女は言った。
「しかしタスマニアンデビルと過ごしていると、本当に静かだ。」
調査の一環として調査チームは動物園内のDFTDのタスマニアンデビルを捕らえた。
「食べ物をめぐって互いに攻撃しあうような動物たちが、驚くほど穏やかで、接しやすいというのは、驚くべきことだと思います。」といった。
「おそらくタスマニアンデビルは恐れの反応をして、固まるからだろう。」
【感想】
私は学生時代歴史の授業が苦手でした。過去のことを授業で紹介され、暗記をしなければならない。とても大変なものに感じていましたが、「過去の記録を理解することで、未来の予測を立てるヒントになる」というロジャース教授の言葉があれば、歴史の授業にもっと意味を見出し、興味が持てたのではないかと、今更ながら感じました。
引き続きヒゲからタスマニアンデビルの生態についての理解を深め、将来の繁栄につながればよいと思いました。