オーストラリア政府がヘリコプターからコアラを狙撃した後に捉えた衝撃的な写真
Devastating photos captured after Australia gunned down koalas from helicopters
最近ビクトリア州で700匹のコアラが死亡した出来事に対して調査を求める声が上がっている。
2025年4月25日
Michael Dahlstrom, Environment Editor
Yahoo News
担当 Jomiy
負傷や飢餓状態のコアラの個体をヘリコプターから安楽殺させるという、オーストラリアで議論を呼んでいるプログラムは、短期間は継続される予定であり、その後、獣医による新たな評価を通して縮小される予定だ。先週、Yahoo Newsは、バッジ・ビム(Budj Bim)国立公園の重要な生息地を焼き尽くした壊滅的な山火事に対応するために企てられたこの計画の存在を明らかにした。
ビクトリア州の環境省 (DEECA)は、このプログラムは動物福祉の懸念に対処するためだけにつくられたと主張しているが、計画の詳細は「秘密主義的」だと非難されている。オーストラリアでコアラの空中銃撃が行われたのは今回が初めてのことだとされており、これを批判する人たちは、一般人に内容を詳しく説明する義務があると主張している。
このプログラムに批判的な人たちからYahooNewsに提供された写真は、南西部のコアラの福祉問題は今回の出来事だけではなくさらに大きくなることを示している。そして、この地域でどのようにコアラが管理されているのかの調査を求める声が増えている。
自由党(The Liberal Party)、緑の党(Greens)、アニマル・ジャスティス党(Animal Justice Party)は、バッジ・ビムでの状況の不透明さを非難している。
約700匹ものコアラが安楽殺され、そのコアラのほとんどが空中からの襲撃であったとされており、この出来事は国際的な注目も浴びている。野党の環境広報担当であるブラッド・ロウズウェル氏は、このプログラムを「恥ずべきもの」と表現し、特に観光に関して大きなダメージを与えるだろうとしている。彼は今回の計画が承認されることにつながった意思決定の過程について、政府にさらなる情報開示を求めている。「それは、公平で正当な要求である」とロウズウェル氏はYahooに語った。
先週、ビクトリア州の首相であるジャシンタ・アラン氏は、動物たちは非常につらい状態下にあったと言い、このプログラムを擁護した。しかし、彼女の環境大臣はこの問題について沈黙を保ったままである。
木曜日に、Yahooがスティーブ・ディモポロス氏に送った質問には対し、代理のスポークスパーソン(政府の広報担当)が回答し、広報はこの悲劇を政治利用しているとして自由党を非難した。
「ブラッド・ロウズウェル氏やビクトリア州の自由党(The Victorian Liberal Party)は、コアラの動物福祉よりも人気や政党の評判を気にしているようです。この対応は獣医や野生動物の救助者たちの意見に基づき、野生動物倫理の専門家によって精査されたものであり、火災によって被害を受けたコアラたちから苦しみを取り除くための、最も思いやりのある、現実的な選択だということが確認されています。」
とスポークスパーソンは語った。
ビクトリア州のコアラたちが直面しているより深刻な課題
山火事や安楽殺後生き残ったコアラたちはより大きな問題に直面している。ここ数十年、バッジ・ビムに生息するコアラたちは過密状態が続いており、その結果、木々の葉っぱが食べ尽くされ、飢餓や病気といった福祉上の問題が継続的に起きている。Yahoo Newsはこれまでに、複数の州の環境大臣に、南西部のコアラの動物福祉問題についてのインタビューを求めたが、今のところ、誰もそれに応じていない。
数千ヘクタールもの私有のブルーガム(オーストラリア固有のユーカリの一種)プランテーションがこの地域の大半を占めている。それらの木々が伐採されると、そこに住むコアラたちは、バッジ・ビムのような地域に避難せざるを得なくなる。その結果、コアラの生息密度が高くなり、彼らの福祉が損なわれている。このような状況から、ここ数十年間で繁殖制限や安楽殺を含むコアラの管理プログラムが行われてきた。また、多種の動物たちは、交通量の多い道路を横断中に轢かれたり、家畜や犬のパドックに入り込んだりして亡くなっている。
ビクトリア州の環境省は、今回の空中狙撃プログラムについて、淘汰ではなく動物福祉のためだけに実施したと示している。以前にも森林火災の対応として、近隣のグランピアンズ(Grampians)地域で安楽死プログラムを実施してきたが、その際にヘリコプターは使用されず、コアラの数が少なかったため規模もはるかに小さかった。
ビクトリア州の環境省が、コアラの管理に関して物議を醸したのは、今回が初めてではない。2015年には、同州のオットウェイ(Otway)地域全体で、2013年と2014年に600匹以上のコアラが淘汰されていたことが明らかになった。
政府、コアラに100万ドルの投資の可能性を示唆
この地域のコアラの支援策として、ビクトリア州政府は州南西部に新たな生息地を整備する計画を立てているとYahooに明かした。ただし、計画の具体的な内容はまだ公表されていない。
ビクトリア州政府は「最近の森林火災は、バッジ・ビム国立公園のコアラの生息地に深刻な被害をもたらしました。そのため、コアラの餌の確保を支援するために、公園の近くに新たな生息地を整備する計画として、100万ドルの投資を行う予定です。また、私たちは、ビクトリア州南西部における過密なコアラの個体数という継続的な問題を抱えています。しかし、定期的な健康チェックや繁殖制限プログラムを通して、これらのコアラたちができる限り健康に生きられるよう取り組んでいます。また、今回の緊急対応も、今後のこのコアラの個体群の管理方針を決定する際に考慮に入れる予定です」と述べている。
緑の党、コアラの生息地を守ることに「失敗した」と政府を非難
緑の党は、バッジ・ビムでの状況についての調査を求めており、同党の州代表であるエレン・サンデル氏は、コアラに十分な生息地を確保できなかった政府の「失敗」を批判している。
「森林火災によって飢えている何百匹ものコアラに会い、その後安楽殺されていくのを見ることは、とても辛いことです。このことは、コアラやその他の野生動物のための生息地を守ることに完全に失敗している州労働党政府の姿勢を明らかにしています。動物たちは、だんだんと小さくなる脆弱な生息地に追いやられており、そうした場所はひとたび火災が起きれば壊滅的な被害を受けやすいのです」と彼女は述べた。
「何年もの間、労働党(Labor)は、原生林の伐採や森林破壊を許し、さらに森林火災の原因となる化石燃料の使用を支持してきました…。この悲劇は、私たちに目を覚まさせる警告です。そして、私たちは労働党に対して野生動物や生息地の保護を本気で取り組ませる必要があり、そうでなければ、このような悲劇は今後も繰り返されるでしょう。」
約1万人がChange.orgでこのプログラムに関する政府の透明性を求める署名を行いました。また、アニマル・ジャスティス党のジョージー・パーセル氏が支援する第2の署名活動では、コアラの「淘汰」とコアラ管理全般についての調査を求めています。
著名な動物福祉活動家や野生動物のレスキュー関係者たちは、ビクトリア州環境省に対し、ただちに安楽死プログラムを中止し、これまでに殺処分されたコアラの数に関する最新情報を公表するよう求めています。市民の活動グループの「 Koala Alliance」を率いるジェス・ロバートソン氏は、木曜日に、バッジ・ビム国立公園からYahooに語り、公園内の広範囲が今も焼けずに残っていることを指摘しました。
「この非人道的な淘汰を続けていることに、私は強い不安を感じます。地域社会に対して、こうした決定の理由、植生が不足しているという証拠を含めた透明性のある説明がなされるまで、このプログラムは直ちに中止する必要があります。」と彼女は述べた。
今週、ロバートソン氏は国立公園周辺の土地で進むブルーガム伐採の規模を記録しており、園内での餌不足が続く間は、今後の伐採も停止するよう政府に強く求めている。政府による100万ドルの土地の投資では、長期的にこの問題を解決するには不十分だと彼女は考えている。
専門家は安楽殺への「反発」に懸念を表明
ディーキン大学のコアラ専門家である准教授デスリー・ウィッソン氏は、去年発表された、ビクトリア州全体のコアラ保全・管理戦略の策定に関わっていた。
彼女は、政府の南西部でのコアラ対応全般について、強く批判している人物である。
「ブルーガムのプランテーション会社には答えるべきことがたくさんあり、DEECAにも同様に責任があります。なぜなら、彼らはこの問題に対してほとんど何も説明していないからです」と彼女は語った。
「バッジ・ビムで1匹の動物が死ぬたびに、その代わりとして10匹がプランテーションからやって来ることになるでしょう。そのため、私たちはこの問題にもっと注目する必要があります。」
しかし、バッジ・ビムでの森林火災後に実施された空中からの「淘汰」については、関係者との話し合いを通じて、それらは正しく適切な対応であるという考えに至った。
「緊急事態のとき、どう行動するべきですか?動物たちの苦しみを和らげなければなりません。」「木を植えて育つのを待つ余裕はありません」と彼女は述べた。
ウィッソン氏は今、安楽死に対する世論の「反発」が、今後同じような「人道的な」対応を妨げてしまうのではないかと恐れている。そして、彼女はSNSで自身の懸念を発信している。
「次の火災が発生したとき(それは必ず起こります)、彼らは、動物の苦しみよりも世間の非難を恐れて、何もしないかもしれません」と彼女はSNSに投稿した。
「もし本気でコアラたちを守りたいのなら、私たちはこの心苦しい現実から目を背けず真剣に向き合い、感情や報道の見出しなどの世論ではなく、動物福祉に基づいた判断を支持していかなければなりません。」
【感想】
インパクトの大きな記事で、読む人によって様々な捉え方をされる内容だと感じました。
殺処分ではなく、どこか別の場所に移して救助することもできたのでは…と思ってしまいましたが、仮に救助するとしても、ケアや治療にあたる人手の確保や、コアラの特殊な餌の問題、飼育管理費用などを考えると、レスキューは簡単にできることではないと感じました。
この出来事に対して、批判的な意見を持ったとしても、同じことを繰り返さないために、そして、人間活動によって失われる野生動物が1匹でも少なくなるように、私たち1人ひとりが何ができるかを真剣に考えていく必要があると思いました。