2022年 応用トレーニングコース体験談

   

山下 文子さん

私がこの応用コースに参加した理由は、オーストラリアで英語に触れ、そして色々な動物を見てみたいと思ったからです。他の参加者の皆さんと比べると、単純な理由で出発する前は少し不安もありました。しかしせっかく行くのだから、少しでも現地の人と話をして英語に触れたいという思いがありました。

初日から3日間はNorth Stradbroke Islandでの研修でした。ここでは、海洋動物の生態系やマングローブの調査、マイクロプラスチックが海に与える影響について学びました。普段あまり馴染みのない分野の内容だったため、授業を受ける前は正直あまり興味がありませんでした。しかし授業を英語で聞き、実際に海に入ってマングローブの調査や地引網などをしてみると、見たことのない生き物や植物がたくさんいて、すごく感動しました。特に忘れられないのは、プラスチックの問題についての授業でした。日本でもビニール袋の有料化が最近はじまり、少しずつ環境に良い活動が行われていると感じていました。しかし今まで使って捨てられてきた大量のプラスチックが、海へと流れ出し、多くの海洋生物を傷つけているという事実を知りました。自分の身近にあるものが、巡り巡って生き物達を苦しめているのだと気づき、心が痛くなりました。2日目のGorge Walkに行った時には、海岸でプラスチックのゴミ拾いもしました。一見綺麗に見える海岸には、拾いきれないほどのプラスチックゴミが散乱していて、さらに悲しい気持ちになりました。すぐに自分1人の力でなんとか出来ることではないけれど、少しでもプラスチックをうまないように「使わない」選択をしたり、ゴミ拾いなどの活動に参加してみたいなと感じました。

島の景色は特に最高で、崖の上から広大な海を見渡したり、みんなで夕日を見たり、たくさんの自然に触れることができて最高の時間を過ごすことができました。North Stradbroke Islandでの体験は、全てが初めてのことばかりで、一生心に残る素晴らしい時間でした。

ブリスベンでは、動物愛護団体の保護施設の見学や施設の方のお話を聞きました。日本の保護施設はテレビでみたことしかなかったけれど、広い施設の中でどの動物も生き生きとした顔をしているのが印象的でした。オーストラリアでは、地域の人が連れてくる野鳥や産業動物までも保護施設で受け入れをしていました。また査察官が飼い主の許可なく、立ち入りをして保護することができるという点でも、動物に対する日本とのギャップがあり、整った制度があることに感銘を受けました。

カランビン動物病院の実習では、鳥の羽を洗ったりカンガルーやペリカンの手術を見学したりと日本では見られないような動物達の手術シーンをたくさんみる機会がありました。病院の副委員長さんからレクチャーを受けたり、普段得られない知識をたくさん得ることができました。特に興味深かったのは単孔類について勉強したことです。大学で単孔類のことを勉強することはないので、哺乳類との違いに驚く事ばかりでした。カランビン動物病院ではエキドナ(ハリモグラ)を実際に見ることができました。ムクムクと歩いている姿が可愛くて、好きな動物の1つにランクインしました。

10日間を通して、一緒に参加をしてくれたメンバーとも仲を深めることができ、忘れられない夏の思い出ができました。

今回この応用トレーニングコースでオーストラリアに滞在し、日本とは異なる文化、環境に触れ、世界が大きく広がりました。英語を喋ることの楽しさ、そして難しさも肌で感じることができ、漠然としてはいますがまたいつかオーストラリアに行きたいなと感じました。

最後に10日間色々な場面でサポートしてくださったAJWCEFのスタッフの皆様、どんな時も優しく声をかけてくださり、安心して全ての活動に参加することができました。本当にありがとうございました。

マイキーさん

私はこの実習を通して、ヒトと自然、野生動物のつながりの例を具体的に理解することができました。

自然の豊かなオーストラリアにおいても、社会生活をする中でプラスチックごみの海洋投棄や道路の整備のための森林伐採など、さまざまな影響を自然に与えています。そして、このゴミを誤食して苦しむ野生生物もあります。一方で、ケガをした野生生物を助けようと取り組むボランティアや獣医師の方々もいらっしゃいました。

このようなことを学べた今回の実習から、現在そして未来に自然に与えうる影響についての問題について、知識だけでなく具体的な活動との関連が理解できました。今後は、小さなことでも身近なことから環境への影響を考えた行動を起こしていくことで、野生生物の環境をすこしでも良くしたいと考えています。

最後になりますが、盛りだくさんの企画と、快適な実習の進行のためにお世話頂いた皆様、ありがとうございました。

M.O.さん

今回のコースはコロナの影響で延期になってしまっていたこともあり、2年半越しの、念願のオーストラリアでした。私にとって久々のフィールドワークであり、とても充実した楽しい日々を過ごすことができたのと同時に、実際に自分の目で見たり体験したりして学ぶことの楽しさ・大切さを改めて感じることができました。

特にNorth Stradbroke島での実習は、マングローブの調査やプランクトンの同定など、自分にとって初めての経験ばかりでした。しかしこれらはすべて、海の環境や生き物たちを守ることに繋がっているということを、島での実習や講義を通じて肌で感じることができました。

カランビンワイルドライフサンクチュアリでは、コアラの剖検や麻酔銃など、野生動物保護に関する実践的な実習をすることができ、とても貴重な経験となりました。特に驚いたのは、病院にやって来る野生動物はほとんど地域の方が保護して連れてきているということです。日本では野生動物を目にする機会自体少ないですが、オーストラリアでは野生動物との距離が近く身近な存在であるのだとツアー中の生活を通しても実感し、野生動物保護に対する日本との意識の違いを強く感じました。日本では同じような仕組みで保護を行っていくことは難しいかもしれませんが、自分の興味のあることや守っていきたいことのために、常に学ぶ姿勢や努力を忘れずに、野生動物と人との関わり方を自分なりに考えていきたいと思いました。

S.A.さん

たくさんの経験と学び、出会いがあり本当に素敵なオーストラリア実習でした。講義や現地で働いている方のお話の中で驚いたり、ためになった事はたくさんありますが、特に衝撃を感じたのは、環境問題の講義の中で、日本の環境に対する意識の低さを講義で言われときです。日本は環境問題に対して、主にプラスチック問題に対して何をやっているのと尋ねられ、ゴミを分別してプラスチックはリサイクルしているというのが頭に浮かびました。しかし、それは最低限のライン、リサイクルをするのは当たり前で、その上でそもそものプラスチック使用量を減らす努力をする必要があると講師の方に言われ、かなり衝撃でした。

 他にも、オーストラリアには、日本と違う考えや仕組みがたくさんありました。例えば、野生動物を無料で診察する仕組みがあったり、野生動物のケアラーさんがいたり、ペットの飼育に関して警察と同等の権利を持つ査察官がいたりするそうです。

 このようにオーストラリアの動物や環境に関する仕組みを知る事で、日本の現状を知ることができました。海外のことを知ることで、日本の現状について考えることもでき、また、自分の知識がいかに不足しているかを感じることができました。大学で学ぶことばかりではなく自分から積極的に経験をしたり学んだりしなければならないと強く感じました。

 勉強ばかりではなく、綺麗な星や空、海が見られたり、野生のコアラやカンガルー、クジラが見れたり、綺麗な野鳥が見れたり、素敵な人たちに出会うことができました。

 財団の方々や、実習に関わっていただいた全ての人たちに本当に感謝しています!ありがとうございます。はじめての海外で、知り合いもいない状態でとっても緊張しましたが、皆さんが本当に優しくて、楽しい日々を送ることができました。また是非機会があったらオーストラリアへ行きたいです!

C.T.さん

大学1年生の時、大学にて行われた説明会でトレーニングコースの存在を知り、コロナ過を経て4年生になった2022年の夏のコースで募集が再開されたため、申し込みました。今回参加した応用トレーニングコースでは海洋の生物・環境にも焦点が当てられていて、講義として学ぶ機会があったり、実際にクジラやイルカといった野生の海生哺乳類を何度も、時には間近で見ることができたりと、今までにないとても貴重な経験でした。また、大学や学年の違う学生同士で慣れない海外での共同生活も良い思い出になりました。

10日間で印象的だったことは2つあります。1つ目はRSPCAの見学に行った際、野生動物の救護・保護活動において受け入れる動物種に制限がなかったことです。日本だと外来種や農作物に被害を与えている動物は受け入れできないことがあり、在来種や人になるべく損がないように保護活動が行われてる印象を受けることが多かったです。そのため、助けが必要な動物がいるなら助ける、という姿勢を貫ける環境がうらやましいなと思いました。また、何がそのような違いを作っているのか、日本でオーストラリアのような保護活動の柔軟性を生むにはどうしたらよいのだろうかと考えるきっかけになりました。

2つ目は野生動物の保護活動にボランティアとして関わる人の多さです。カランビン野生動物保護区では、施設内や動物病院でボランティアと書いてある服を着た方と頻繁にすれ違いました。保護後、野生に帰すまではアニマルケアラーにお世話が引き継がれるというお話もあり、保護活動を支えている人々の多さが印象的でした。そういった活動に関心のある人々が関わりやすいことも、保護への協力性につながると感じました。

待ちに待ったこのトレーニングコースは予想をはるかに超えた濃い時間になり、たくさんの動物に出会え、学ぶことができました。そんな充実した時間を過ごすことができるよう、私たちを導いてくださったAJWCEFのスタッフの方々には本当に感謝しています。素晴らしいトレーニングコースに参加させていただきありがとうございました。またいつかオーストラリアに行きます!

 

 

島本美月さん

 今回の実習を通して最も印象的だったことは、現地の人々の野生動物との共生に対する意識の
高さです。日本では野生動物というと、農作物被害をもたらすとされるシカ、都会に出てきて
人々を脅かすサルなどを思い浮かべます。さらに、野生動物との共生といっても一般人ができるこ
とというと環境を大切にするなどといった抽象的なことになってしまいます。オーストラリアでは
日本より多くの種の野生動物がいますが、現地の人々はそれらを非常に大切にしていました。黒
鳥のファミリーが安全に道路を横断していたり、野鳥たちは人に対して恐怖心がないため近寄っ
ても逃げることはありませんでした。また、野生動物ケアラー(Foster carers)という野生動物の
飼育をする資格を持つ人たちの存在に衝撃を受けました。実習で訪れたRSPCAやCurrumbin
Wildlife Hospitallで治療した動物たちを引き取って自宅でお世話をする人々がいて、スーパー
マーケットには数多くの動物種に対応した野生動物用のエサも購入することができます。日本も
オーストラリアのように野生動物との共生についてもっと多くの人々が興味・関心をもち、アク
ションを起こすことができるようになって欲しいと思いました。また、私もこの実習で学んだこ
とを活かして、野生動物との共生について人々に伝えられる獣医師になりたいと思いました。

 

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