2023年夏期 応用トレーニングコース体験談
2023/11/17
福澤日菜(日本獣医生命科学大学 獣医学部5年)
日本にいたら経験することのできない体験をたくさんすることができました。また体験のみならず、今まで知らなかった知識もたくさん得られることができました。
陸上のみならず海洋における野生動物がどのような状況にいるのか、また彼らを救うために私たち人間はどうするべきなのか今一度考える機会をいただけました。
また、オーストラリアは日本よりも野生動物がより身近にいる感じがしました。それゆえに人間と動物とが共生していくために関心がある人が多く、ボランティアや寄付活動が日本に比べ盛んなのだと思いました。
日本とは異なる状況だけれども、この経験を活かして野生動物の救助活動に今一度改めて向き合いたいと思います。
Y.U.
stradbroke島で印象的だったのはやはりクジラが陸から見えたことです。クジラを見たのは初めてのことで、スケールの大きさに感動しました。
currumbinに来てからは前回来てから私がより臨床的な知識がついたおかげでとても刺激になりました。縫合方法ひとつをとっても動物種によって大事なポイントが違うことに驚きました。
私は老後野生動物ケアラーになろうと漠然と考えていたので、その方のお家にお邪魔できたのはとてもいい機会でした。インターンもいつかまとまって休めるときにやってみたいです。
前よりも獣医学的知識が増えたせいか前よりも一層勉強になりました。自分の成長も感じられてこれからの勉強の意欲にもなり、本当にためになりました。
H.A.
私がこの実習に参加した理由は、オーストラリアの豊かな自然と高い野生動物保護への取り組みについて学び、さらに海外で括約する力を身につけたいと思ったからです。
実習の前半では、自然に囲まれたノースストラドブローク島で様々な野生動物と海洋ゴミ問題について勉強しました。ノースストラドブローク島では、宿舎の近くでも野生のコアラやカンガルーを見ることができ、野生動物を身近に感じることができました。
島からクジラやイルカを見ることもでき、楽しく観察することができました。野鳥なども日本では見かけないものばかりで、写真を撮って詳細を調べ、さらに野生動物に関心をもつことができました。
実習の後半では、二日間にわたってカランビン野生動物保護サンクチュアリ・野生動物病院で実習を行いました。ここでの実習では、園内を見学するほか油で汚染された鳥の洗浄や鳥への投薬の方法など臨床的な実習も含まれていました。
また、コアラの繁殖についで学んだりコアラの解剖をしたりと、ここでしか知ることができない知識を得ることができました。
実習の最終日には野生動物のケアラーさんの施設を見学しました。ケアラーさんはカンガルーとコアラなどを睡眠時間を削りながら一人で管理していたそうです。これほど多くの動物を一人で管理するには多くの時間と労力がかかるため、ボランティアでこのような活動を行っていることに驚きました。
今回の実習で印象に残ったことは、オーストラリアでは市民の野生動物保護に関する意識が高く、多くの寄付が行われていることです。カランビンの野生動物病院は運営費の多くを寄付でまかなっており、ケアラーさんもボランティアとして動物の保護のために活動しています。こうした寄付を受けるためには人々に野生動物保護に関心を持ってもらう必要があります。カランビンの野生動物病院は人々に活動内容を知ってもらうためにガラス張りになっており、治療中の動物を見ることができました。こうして集まった寄付により、野生動物病院は無料診療を実施しています。寄付の力は思っていた以上に大きく、多くのことをオーストラリアから学ぶ必要があると思いました。
今回の実習では外国ならではの様々な体験をすることかでき、野生動物保護への理解を深めることができました。この思い出を胸に、世界で括躍していきたいと思います。
Y.K.(獣医学部4年)
以前からオーストラリアの野生動物や保護活動に興味があり、今回の研修は実際に技能や知識を習得できる貴重な機会であると考え、参加させて頂きました。
特にオーストラリアに生息している固有種の中でもコアラの保護や飼育管理、解剖に関心があったため、現地の施設や自然の中で学べたことはとても嬉しかったです。
島での実習では、イルカ、クジラ、カンガルー、コアラなど沢山の野生動物を実際に見て学ぶことができ、現地でしかできない経験であると思いました。
カランビン野生動物専門病院での実習では、保護され運び込まれた野鳥やパイソン、カンガルーの治療の見学、オイルで汚染された鳥の洗浄などをしました。今まで野生動物の治療を見たことがなかったため、多くの動物が保護され治療を受けていることや、これらが寄付で成り立っていることは大変印象深かったです。
英語での講義のため若干不安がありましたが、スタッフの方が適宜通訳してくださったため問題ありませんでした。
野生動物のことだけでなく、オーストラリアの文化について学べたことも大変ためになりました。
機会があれば、次は臨床コースにも参加してみたいと思います。
山田千夏(日本獣医生命科学大学 獣医学部)
私は今までオーストラリアにー度も来たことがなく、海外旅行の経験もほとんどなかったので、日本との文化の違い、動物と人との関わり合いの違いにとても驚きました。日本で普段生活していると、カラスやハト、スズメなどの鳥か、犬や猫にしか出会わないので、それ以外の鳥を見ても、“鳥”としてひとつにまとめてしまって、興味もあまり持たないまま生活していました。オーストラリアでは、日本で暮らしていると想像もできないくらいたくさんの種類の大きさも大小異なる鳥がたくさんいて、自然とその鳥の名前や鳴き声に興味を持ち、自ら鳥を探して鳴き声を聞くようになりました。
水野先生が、日本とオーストラリアの野生動物の関わり方は180度異なっているというお話をされていましたが、オーストラリアの街並みやカランビン野生動物公園に行くことでより、日本の野生動物に対する関わり方に危機感を覚えました。上に書いたように野生の鳥に私が興味を持つようになったのは、日本のように人の住むところと動物のすむところをわけて野生動物を守るというやり方ではなく、野生動物と人が同じ場所で共に暮らすという仕組みができているからなのだと感じました。わけへだてられていることで私の野生動物に対する知識はあまりなく、自然に対する興味も失なわれているのだと納得してしまいました。
島ではイルカのサーフィンやクジラの潮吹き、渡り鳥や海の浅瀬に住む生き物など島特有の動物を見ることができてとても楽しく、勉強になりました。動物園でもまともに起きているコアラを見たことがなかったので、木にすわってユーカリの葉をもぐもぐ食べているコアラを見て感動しました。浅瀬を実際に歩いていて、“シ―グラス”がかなり貴重な植物で生態系を維持する上で守っていかなければいけないものなのだと感じました。
また、野生動物病院は想像していた動物病院とは大きく異なるものでした。
哺乳類のコアラやカンガルーのような動物が運ばれてくるイメージが強かったのですが、鳥やは虫類が思っていたよりも多く驚きました。獣医師の方は、哺乳類の解剖的、生理学的な知識だけではなく、日本では普段とりあつかわないような鳥類、は虫類の知識も身につけている必要があるのかと思うと知識量の差がかなりあるのだろうと考えてしまいました。
私も獣医学生として犬や猫だけではなく、自分の興味のある勉強もしていく必要があると感じました。コアラの解剖は一生に一度のとても貴重な移験で犬や猫との臓器の違いには感動しました。
とても貴重な経験をたくさんさせていただき、ありがとうございました。
M.H.(獣医学科5年)
在学している大学でのオーストラリア実習がコロナの影響で中止になったため、学外でオーストラリアの動物について学べるプログラムがないかと思い見つけたのが、今回参加した応用トレーニングコースでした。
諸事情により数日しか参加できなかったのですが、ツアーを通して、オーストラリアでは日本よりも野生動物と人とが近い距離にあると感じました。しかし、カランビン野生動物病院やケアラーさんの話を聞いていると、オーストラリアの一般人の野生動物に対する知識はまだまだ乏しいことがわかりました。例えば、カンガルーやワラビーは牛乳を体内で消化することができないにも関わらず、カンガルーやワラビーの子どもを保護した一般人が牛乳を与えてしまい瀕死状態となってしまった、などの例があります。オーストラリアは日本よりも野生動物に対する制度は整っていますが、それでもまだ国民への周知が行き届いていないのかなと感じました。
他にも野生動物のことだけでなく、日本とオーストラリアにおける文化の違いや経済状況の違いを実際に体験し、今後の日本や自分の将来について考えるきっかけとなりました。
正直、最初はプログラム自体よりも初めてのオーストラリアに対して旅行気分でワクワクしていましたが、いざプログラムが始まると普通にオーストラリアへ旅行するよりもはるかに価値のある体験だと感じました。
最後にこのプログラムを提供して頂いたAJWCEFの皆さま、短い間でしたが色々サポートして頂きありがとうございました。
YU
私が今回のコースに参加を決めたきっかけは、もともと私の大学でも行われていたオーストラリア実習に、大学入学前から参加したいと考えていたためでした。惜しくもコロナでその機会を失い、諦めきれず最後のチャンスと思い参加を決めました。結果、この決断をして良かったと心から思う経験になりました。
私は将来的に大学の専攻の延長で野生動物保護や環境・自然保護の分野で留学したいと考えており、それらの分野で日本の先を行っているオーストラリアという場所で今後の糧になることを学びたいと考えていました。英語も勉強中の身であったため、不安はもちろんありましたが英語で講義を受けることやオーストラリアで現地の方々と英語で会話することなどほとんど初めての経験に楽しみな気持ちが高まっていきました。
講義では哺乳類・海洋動物の生態や解剖学について学び、実習では海洋ゴミの調査、野生動物の解剖、運ばれてきた野生動物の治療の見学、油で汚染された鳥類のケアの実践、海生哺乳類の観察など盛り沢山で本当に充実した日々でした。
カランビンワイルドライフ自然保護区では、そもそも名称が異なりますが、日本の動物園との違いに驚きの連続でした。人間と隔絶された展示動物を見るというようなものではなくて、普段の生活でも道を歩いていたらコアラやカンガルーがいるのと同じように、それぞれの動物の習性が理解された環境下で自然体で生きている動物たちを見て感動しました。
日本の環境保護などの分野では未だ課題が多く残っていると思いますが、オーストラリアで学びを得る度に、日本の現状との比較やその原因について、またどうすれば同様の取り組みが出来るのだろう、と常に考えていました。私個人の意見ですが、日本に比べて環境保護への意識・興味を多くの人が持っていて、国全体でこの問題に取り組んでいるという姿勢が感じられました。だからこそ、カランビン野生動物病院や犬猫のシェルター活動が寄付で賄われていたり、子供から年配の方まで動物保護のボランティアに積極的に参加したり、経済的にも体力的にも負担のあるケアラーというシステムが成立しているのだと思います。
日本の自然や野生生物が豊富なことは決して当たり前なことではないのに、その生態系を人間が脅かしているということにもっともっと危機感を持つ必要があるし、早急に、でも長期的に向き合うべき問題だと痛感しました。
実習以外のことで言うと、初めて一人で乗る国際線にどきどきしながらも渡豪してみて、日本との違いに毎日出会うような生活が非常に刺激的でした。オーストラリアの大きな特徴として多様性という部分があると思います。私は旅行以外で日本の外に出たことがなかったので、違う国籍や人種、民族が交じり合って暮らすということはなかなか日本国内にいては経験できないことだと感じました。先住民であるアボリジニの方々について、そして先住民と先住民でない方の相互理解について、教科書からではなく自分が生活している中で知ることが出来ましたし、実際にこの期間は自分もそこにいる一人として自覚をもって行動していたように思えます。
講義や実習では、頑張って自分で理解しようと思っても、専門用語が出てくるためどうしても難しい部分がありますが、スタッフの方が必ず内容を丁寧に説明して下さるので、英語にまだ自信が持てない方でも同様に沢山のことを学ぶことが出来ると思いますし、むしろ私にとってはもっと英語力をつけたい!と強く思うきっかけになりました。
実習の中で学んだことはここに書ききれないくらいありますが、それ以外にも先生やスタッフの方の留学経験やそれまでの経緯、現地での生活の話などがとても興味深くて、もっともっと沢山お話したかったなと思うくらいでした。
最後に、実習をしていただいた施設の先生や獣医師・VTの方々、宿泊施設でお世話になった方、AJWCEFの方々、オーストラリアで出会ったすべての人たちに優しく接してもらい、当初は野生動物保護について沢山学びたい!という気持ちで来ましたが、それ以上に多くの気付きを得ることが出来て、本当に感謝しています。ありがとうございました!これからも日本国内に限らず、野生動物や環境保護について勉強して携わり続けていきたいと思っているので、目標が達成できた際にはまたご報告させてください!